薬事法に違反していない?水素水を宣伝する時の注意点

水素水は健康ブームの中、色々な効能が謳われ一躍脚光を浴びました。有名・無名メーカーから数多くの水素水が販売されていたものの、いくつものメーカーの宣伝文句が薬機法(旧薬事法)に違反しているとして、行政指導を受けたことでも話題になりました。

では、水素水を薬機法に違反せず宣伝・販売するには、どのようにすればよいのかご紹介しましょう。

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薬機法(旧薬事法)の定義

薬事法とは、化粧品や健康食品を含む医薬品、医薬部外品、医療機器や製品などの品質や効果の安全性を確保するために定められた法律です。2014年からは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と名称が変更され、薬機法と呼ばれています。

虚偽・誇大広告等の禁止や特定疾病用医薬品の広告の制限、承認前医薬品等の広告の禁止などの条項があり、商品を使用したことで利用者に保健衛生上の危害が及ばないよう努めています。医薬品や化粧品、健康食品としての承認を受けていない商品を、あたかも効果・効能があるような宣伝をすると、薬機法違反になります。

薬機法に違反したら?

薬機法に違反すると、行政指導や刑事罰が科されます。まずは、行政指導が入り、改善するための報告書を提出することになり、それでも改善しなかった場合は刑事罰が科されるというのが一般的です。刑事罰は2年以下の懲役刑もしくは200万円以下の罰金、または懲役刑と罰金の両方になります。

薬機法の罰則は年々厳しくなってきており、2021年8月の改定以降は課徴金制度が導入されています。関連:薬事法ドットコム … 薬事法ドットコム

課徴金とは違反していた期間の対象商品の売上の4.5%を支払うというもので、企業にとっては大きなダメージとなります。

また、改定前は刑事罰が科されない限り罰金を支払う必要はありませんでしたが、改定後は刑事罰を科されなくても行政の裁量によって課徴金の支払いを命じることができるようになりました。課徴金を支払ったうえに、商品の回収をしなければならないこともあるため、宣伝・販売活動を行う企業にとっては恐ろしい法律と言えます。

罰則が厳しくなったことから、多くの企業や個人ショップなどは宣伝・販売活動を行う際に薬機法チェックを行っています。

薬機法における水素水の扱い

薬機法における扱いにおいて、水素水は化粧品や医薬品、健康食品として分類されているわけではありません。そのため、水素水に化粧品や医薬品、健康食品として効果があるような表現を使用すると、薬機法の規制対象になってしまいます。

水素水は抗酸化作用があり、アンチエイジングにも効果があるなどといわれていますが、そのまま宣伝コピーに使用すると「化粧品」の効果があると誇大広告をしていると捉えられてしまいます。そのほかにも、水素水を飲むとがんが予防できるという表現は、「医薬品」のような効果があると惑わす誇大広告として規制対象になります。

また、薬機法において水素水は胃腸症状の改善効果があることが認められていますが、厚生労働省から認可を受けていない限りこの効果を宣伝文句として使用することはできません。承認や認可を受けていない限り、水素水が体に及ぼす効果・効能に触れることはできないのです。

薬機法で罰されるのは販売主だけではない

薬機法に違反している場合、罰則の対象となるのは製造元だけではありません。その商品の広告を表示したメディアやインフルエンサー、アフィリエイターまで罰されることがあります。特にインフルエンサーは企業案件として商品の宣伝を行う機会も多く、薬機法に違反する表現を無意識のうちに使用していることもあります。

水素水の宣伝を依頼され、「この水素水を飲むと美肌効果があります」などのキャッチコピーとともに投稿すると、薬機法違反で罰せられる可能性があります。そのため、薬機法に引っかかりそうな商品の宣伝には、表現方法に注意を払う必要があります。

水素水の販促活動で注意すべきこと

水素水の販促活動を行う場合、WEBマーケティングを行うのが一般的です。ホームページを立ち上げ、クリック一つで水素水が購入できるようにしたり、商品の情報を記載したりなどして購入意欲を高めることができます。

ランディングページに口コミや体験談を載せるのも良くある手法ですが、内容によっては薬機法に違反する場合もあるので注意が必要です。体験談や口コミではあっても、水素水の効果を断定する内容であった場合は誇大広告とみなされることもあります。

水素水を飲んだビフォーアフターの写真も、効果を断定するようなものであれば誇大広告と判断されてしまいます。「効果があった」ことを断言・ほのめかす表現や写真は、規制対象となります。また、水素水の販促活動で注意すべきことは薬機法だけではありません。

景品表示法や不正競争防止法にも気をつける必要があります。景品表示法は、商品の品質を他より優れているよう誤認させるようなコピーを使ったり、期間限定半額と謳いながらも実際は定価で販売して経済性を誤認させたりすることを禁じる法律です。

不正競争防止法は、類似する商品を広告に載せ混同させたり、有名商品と似たようなパッケージなどを使い混同させたりすることを禁じる法律となります。

薬機法に違反しないためには

薬機法に違反しないためには、違反広告の定義やガイドラインを把握しておくことが重要です。厚生労働省のホームページで確認することができるので、どのような表現なら許容されるのか知っておく必要があります。ガイドラインを確認したら、社内向けのガイドラインを作成して、広告制作に関わる全員が理解できるようにしておくことも大事です。

行政指導が入るだけでも企業イメージが悪くなるため、薬機法を厳守できるような態勢を整えておくことが大切になります。また、無料のチェックツールを利用して、薬事法に抵触する表現を使用していないか調べることもできます。

チェックツールを使ったからと言って100%大丈夫というわけではありませんが、危険な表現を避けることに役立ちます。複数のチェックツールを使用すると、さらに精度が高まるでしょう。

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薬機法に気をつけて適切な販促活動をしよう

水素水の魅力を伝えたい!と思っても、ストレートに表現すると薬機法に違反する恐れがあるということですね。販促活動を行う際には、薬機法に触れない表現を探し、購買意欲をそそるキャッチコピーを考えなければなりません。

そのためには、薬機法のガイドラインをしっかり確認するとともに、チェックツールを上手に利用するのが良いでしょう。